「努力は夢中に勝てない」- 子どもたちの可能性を信じて[#62]
中学生・高校生のお子さんを持つ保護者の方なら、一度はこんな光景を目にしたことがあるのではないでしょうか。
勉強机に向かっているものの、なかなか集中できずにいる我が子。一方で、好きなゲームや漫画、音楽に没頭している時の集中力は驚くほど高い。そんな姿を見て「この集中力を勉強に向けてくれたら…」と思った経験があるはずです。
今日は「努力は夢中に勝てない」という言葉から、お子さんの学習への取り組み方について一緒に考えてみましょう。

「夢中」の力を目の当たりにした瞬間
ゲームに夢中になる息子の話
知り合いの中学2年生の息子さんは、普段の勉強には30分も集中できないのに、新しく始めたオンラインゲームでは夜中まで熱中していました。そのゲームは英語版だったため、彼は攻略サイトを読むために必死に英語を学び始めたのです。
わからない単語があると辞書を引き、文法を調べ、ゲーム仲間との英語でのやり取りも積極的に行うようになりました。3ヶ月後、彼の英語の成績は大幅に向上していました。「勉強しなさい」と言われてもやらなかった英語を、彼は夢中になって学んでいたのです。
推し活から歴史好きになった娘の話
高校1年生の娘さんがいる家庭では、娘さんが韓国のアイドルグループのファンになったことをきっかけに、韓国語の勉強を始めました。最初は歌詞を理解したいという単純な動機でしたが、やがて韓国の歴史や文化に興味を持つようになりました。
韓国と日本の歴史的なつながりを知りたくて、今まで苦手だった世界史の教科書を読み返し、図書館で関連書籍を借りて読むようになったのです。定期テストでは世界史が一番の得点源になりました。

なぜ「夢中」は「努力」に勝るのか
内発的動機の力
心理学では、外からの報酬や罰によって行動する「外発的動機」と、内面から湧き出る興味や関心による「内発的動機」があると言われています。夢中になっている状態は、まさに内発的動機が働いている状態です。
努力は「やらなければならない」という義務感から生まれることが多いのに対し、夢中は「やりたい」「知りたい」という欲求から生まれます。この違いが、集中力や持続力に大きな差を生むのです。
フロー状態の体験
「夢中」の状態は、心理学者ミハイ・チクセントミハイが提唱した「フロー状態」と呼ばれる現象です。時間を忘れて没頭し、高い集中力を発揮している状態で、学習効果が最も高まると言われています。
この状態を勉強でも体験できれば、学習効率は格段に向上します。

勉強への「夢中」を育む方法
小さな興味の種を見つける
お子さんが何に興味を示すか、日頃からよく観察してみてください。それは一見勉強とは関係ないことかもしれません。しかし、その興味を入り口として、学習につなげる方法は必ずあります。
- 音楽好きなら → 音響工学、数学、外国語
- スポーツ好きなら → 物理学、生物学、統計学
- ファッション好きなら → 化学、経済学、文化史
- 動物好きなら → 生物学、環境学、獣医学
学習の目的を明確にする
「なぜこれを学ぶのか」「将来どう役立つのか」を具体的に示すことで、学習への動機を高めることができます。数学が将来どんな職業で使われているか、英語ができることでどんな世界が広がるかを、具体例を交えて話してみてください。
成功体験を積み重ねる
小さな「できた!」の積み重ねが、学習への興味を育てます。難しすぎる問題ではなく、少し頑張れば解けるレベルの問題から始めて、徐々にレベルを上げていくことが大切です。
保護者としてできるサポート
結果よりもプロセスを褒める
「テストで90点取ったね」ではなく「最後まで諦めずに考え抜いたね」「わからないところを質問して解決したね」といったプロセスを褒めることで、学習そのものへの興味を育てることができます。
一緒に学ぶ姿勢を見せる
保護者自身が学び続ける姿を見せることで、学習が生涯にわたって続くものだということを伝えられます。お子さんが勉強している横で、保護者も読書をしたり、新しいスキルを学んだりする時間を作ってみてください。

失敗を恐れない環境作り
間違いを恐れて挑戦しなくなってしまっては、「夢中」になることはできません。失敗は学習の一部であり、成長のために必要なものだということを伝え、安心して挑戦できる環境を作ってあげてください。
最後に – 子どもたちへ
中学生・高校生の皆さん、今は勉強が面白くないと感じることがあるかもしれませんね。でも、きっとあなたの中にも「夢中」になれる何かがあるはずです。
それは今はまだ勉強とは関係ないことかもしれません。でも大丈夫です。その「夢中」を大切にしてください。そして、その興味を深めていく過程で、きっと学習の面白さにも出会えるはずです。
努力も大切ですが、それ以上に大切なのは「知りたい」「やってみたい」という気持ちです。その気持ちを持ち続けることで、あなたの可能性は無限に広がっていきます。
保護者の皆さんも、お子さんの小さな興味の芽を見逃さず、それを大切に育ててあげてください。「夢中」になれることを見つけたお子さんは、必ず自分の力で道を切り開いていけるはずです。
今日という日が、お子さんにとって新しい発見の始まりとなりますように。

と、このような記事を書きましたが、保護者の方からすると、そんなに悠長に待っていられない気持ちも十分にわかります。
「内発的動機の力」は、ゲームやSNSなどだけではなく、勉強においても「もっとやりたい」と思わせることができます。もともと勉強が好きな子というわけではなく、今まで勉強を「やらされていた」子たちも、自分から勉強をし始めるようになることがあります。
子供自らが勉強をしたくなるよう、その気持ちを育むことが私たち塾講師の重要な役割だと考えています。単に授業をすることが塾講師の仕事だと思っている塾や講師では、子供の力を十分に伸ばすことができず、限定的な成果に留まってしまいがちです。
子供たちの成長をサポートし、本来持っている力を最大限に発揮させることができる塾や講師が増えることを心から願っています。
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