「間違えたらどうしよう」を卒業する ― ミスが学びに変わる瞬間[#114]
「間違えたらどうしよう」その気持ち、実はもったいないかもしれません
問題を解いていて、答えを聞かれるのが怖い。間違えたら恥ずかしい。そう感じたことがある子は、きっと多いと思います。
でも、指導の現場で長く子どもたちを見てきて感じるのは、ミスは「悪いこと」ではなく、「一番成長できるタイミング」だということです。今回は、そのことについて少し詳しくお話しします。
「たまたま合っていた」より「間違えた」ほうが、実は伸びる
意外に思われるかもしれませんが、勘で解いてたまたま正解した問題より、自信を持って解いたのに間違えた問題のほうが、あとあと大きな学びになることがあります。
なぜなら、「たまたま合っていた」問題は、本人の中で「わかったつもり」のまま残ってしまうからです。理解が浅いままフタをされてしまうので、似たような問題が本番のテストで少し形を変えて出てきたときに、初めて「あれ、解けない」と気づくことになります。それも、練習中ではなく、本番で。
一方で、練習の段階でしっかり間違えておけば、「どこで、なぜ間違えたのか」をその場で確認できます。ミスの原因さえわかれば、次から同じ間違いをしなくなる。これが、練習中のミスがむしろ財産になる理由です。
心理学の研究でも裏付けられていること
これは感覚だけの話ではありません。認知心理学の分野に「ハイパーコレクション効果」と呼ばれる現象があります。簡単に言うと、「これで合っているはずだ」と自信を持って間違えた問題ほど、正しい答えを教わったときにしっかり記憶に残りやすい、という研究結果です(Butterfield & Metcalfe, 2001など)。
間違えたときに感じる「え、違うの!?」という小さな驚きが、実は記憶に残るきっかけになっているという考え方です。つまり、自信満々で間違えることも、決して悪いことではないのです。大切なのは、そのあとにきちんと訂正されるかどうか、という点になります。

学校の授業や集団塾では、フォローしきれないことがある
ここで一つ、正直にお伝えしたいことがあります。「個別指導だから、こういうミスのフォローは当たり前にやっているはず」と思われるかもしれませんが、実はそうとは限りません。
私自身、集団塾で講師をしていた経験がありますが、生徒に答えさせてミスがあっても、フォローに入らずに次の生徒を指名して授業を進めてしまう場面を見てきました。カリキュラムを予定通り進めることが優先されると、「なぜ間違えたのか」まで一緒に考える時間はどうしても後回しになりがちです。
また、個別指導であっても、ミスに対してただ正しい答えを伝えるだけで、その子がどこでどうつまずいたのかを確認しないまま終わってしまう先生も、実際にいらっしゃいます。
LEAFがミスに対してやっていること
LEAFのマンツーマン指導では、ミスをしたときにこんな流れでフォローしています。
- ①まず自分で考えてもらう — すぐに「ここが違うよ」とは言わず、「どこで間違えたと思う?」と本人に考えさせます。
- ②自分で気づけたら、それを言葉にしてもらう — 自分の言葉で説明できると、次に同じ問題が出たときに自分でブレーキをかけられるようになります。
- ③自分で気づけなかったら、こちらから示す — 「ここでこう考えたから、こうなったんだね。この部分の理解がまだ少し曖昧だったのかもしれないね」と伝え、該当する部分を教え直します。
- ④その場で類題を出す — 教えて終わりではなく、似た問題をすぐに解いてもらい、同じミスを繰り返していないかを確認します。

実は、こうしたミスの分析力は入試問題そのものにも直結しています。数学の定期テストや入試では、「Aさんの解答のどこが間違っているかを指摘し、正しく直しなさい」という形式の問題が出題されることもあります。日頃からミスの原因を自分で言語化する練習は、そうした問題への対策にもつながっているのです。
集団授業でも、工夫次第でできること
「大人数のクラスでは、一人に時間をかけられないのでは」と思われるかもしれません。ただ、私が集団塾で授業をしていたときも、間違えた生徒には「どう考えたか」を聞くようにしていました。もちろん、それを嫌がる子には無理に聞きませんし、聞かれること自体を怖がらせない雰囲気づくりを普段から心がけていました。
本人が気づけないときは、周りの生徒に「ここ、どこが違うと思う?」と考えてもらうこともありました。ミスを笑ったり責めたりする空気ではなく、「間違いはみんなで検討する材料」という空気を教室に作れていれば、大人数でもミスを学びに変えることはできると思っています。
一つだけ、気をつけたいこと
ここまで「ミスは学びのチャンス」とお伝えしてきましたが、一つだけ誤解してほしくないことがあります。それは、「勉強をサボった結果、点数が取れなかった」場合とは話が別だということです。
今回お伝えしているのは、あくまで「しっかり勉強したうえで、それでも解けなかった」ときの話です。ここを分けずに「ミスはOKだよ」とだけ声をかけてしまうと、子どもによっては言葉通りに受け取ってしまい、努力そのものを軽く見てしまうこともあります。頑張った過程を見た上での声かけかどうかで、伝わる意味は大きく変わってきます。
まとめ:ミスは「できないこと」が見つかった合図
テストで悪い点数を取ってしまっても、それは「自分の課題が見つかった」ということでもあります。練習中のミスも、本番のミスも、正しく向き合えば必ず次への材料になります。
集団塾であっても個別指導であっても、大切なのは「その子がどこでどうつまずいたか」をきちんと見て、成長につながる声のかけ方ができているかどうかです。そして、その声のかけ方を一人ひとりに合わせて変えられることこそ、個別指導ならではの強みだと感じています。
もしお子さんが「間違えるのが怖い」と感じているようなら、その気持ちに寄り添いながら、ミスを一緒に整理していく場所として、LEAFを頼っていただけたら嬉しいです。
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