「え?こんなのもわからないの?」という先生・・・[#112]

「え?こんなのもわからないの?」
先生からこの一言を言われて、それ以降、質問しに行けなくなった――。そんな経験、ありませんか?今日は「わからないと言える教室」について、LEAFが日ごろ考えていることをお話しします。

「わからない」と言うのは、恥ずかしいことじゃない

これは、私が個別指導塾LEAFを立ち上げる前、集団塾で働いていたときに実際にあった話です。自習中、わからない問題を質問しに来た生徒に対して、先生が「え?こんなのもわからないの?」と返してしまったのです。

言われた生徒は、その場では「わからないから聞きに来たんですけど(笑)」と軽く返していました。でも、よく見ると少しだけ表情がこわばっていて、小さくショックを受けているのがわかりました。中には、苦笑いだけしてそのまま何も言わず、説明だけ聞き席へ戻っていく子もいます。

こういう子たちは、次に同じことが起きると、先生に質問すること自体をやめてしまいます。先生のところへは行かず、友達にこっそり聞くようになったり、最終的には「わからないまま」で済ませてしまったり。せっかく「聞きに行こう」と勇気を出したのに、その一言でブレーキがかかってしまうのです。

よくある生徒の本音
「こんなこと聞いたら笑われないかな」
「バカだと思われないかな」
「授業聞いてなかったって怒られるかな」
授業中、机間巡視してきた先生から自分のノートを隠す子がいるのも、実はこうした気持ちの表れだったりします。

「発破のつもり」が、逆効果になっていることも

こうした話を先生同士でしたとき、「子どもたちにハッパをかけるつもりで言ったんだよ」という言い訳を聞くことがあります。

でも、本当に発破をかけるつもりなら、その後の生徒の表情や、勉強へのモチベーションがどう変わったかを気にかけるはずです。実際には、そこまで生徒の様子を見ていないことがほとんどで、多くの場合、その場を取り繕う言い訳になってしまっています。

📖 こんな研究もあります
組織心理学の分野で有名なエイミー・エドモンドソン教授(ハーバード大学)は、人が集団の中で発言をためらう理由として「無知だと思われる不安」を挙げています。「こんなことも知らないのか」と思われることを恐れると、人は質問や確認を避けるようになる、という考え方です。これは職場の研究として知られていますが、教室でもまったく同じことが起きていると言えそうです。

また、教育分野では「わからない」と助けを求める行動を「援助要請」と呼び、研究が進められています。実際の授業を観察した研究では、生徒同士が「わからない」を言い合える雰囲気がある教室ほど、学び合いが活発になることがわかっています。「わからない」は「わかりたい」という前向きなサインだと、大人が理解してあげることが大切なのかもしれません。
質問しづらい教室のイメージ

当時、私にできたのは「あとからのフォロー」だけでした

その先生に対しては、私からもできる範囲で伝えるようにしていました。ただ、立場上すぐに動けないこともあり、私自身がその場でできることは、傷ついた生徒への事後フォローくらいでした。

✔ 当時、私が心がけていた3つのこと

① 「さっきの質問、解決できた?」と後から声をかける

② 「うわ、これは難しいね。自分も子どものころ困った記憶あるよ」と共感を伝える

③ 先生の言動を、上司や本人にそれとなく共有し、経過を見守る

ただ、これはあくまで「起きてしまった後」の対処にすぎません。集団授業という仕組み自体が、わからないまま思考が止まってしまった生徒に気づきにくく、その子だけに時間を割くことが構造的に難しいのです。同じ教室に何十人もいれば、一人ひとりの「わからない」の瞬間をすべて拾い上げるのは、正直かなり無理があります。

「起きてから謝る・フォローする」のではなく、「そもそもその子の『わからない』がその場できちんと解決される場所をつくりたい」。そう思うようになったことが、個別指導塾LEAFを立ち上げた大きな理由のひとつです。

個別指導だから、その場で解決できる

LEAFでは、「知らないことは悪いことじゃない」と生徒によく伝えています。そのうえで、「わからないから塾に来ているんでしょ?できる努力を放置する方がよくないよ」とも話します。

そしてLEAFは個別指導なので、以前のように「あとからフォローする」必要自体がほとんどありません。

✔ LEAFの授業中に心がけていること

① つまずきを発見させ、問題が発見されたことを前向きに受け止める

② その子の理解度に合わせて、説明の仕方や問題を授業中にその場で調整する

③ わからないままにせず、授業の中で解決させ、課題で反復し定着を図る

「同じテキスト・同じ授業をみんなに」ではなく、「その子にとって意味のある時間」をその場でつくれること。これが、集団塾と個別指導塾の両方を経験してきたからこそ、私がLEAFでいちばん大事にしていることです。

個別指導でその場で解決するイメージ

この夏、塾選びで意識してほしいこと

これから中3生にとって大切な夏がやってきます。夏期講習の募集も、各塾で本格的に始まる時期です。

集団塾には集団塾ならではの良さがあります。まわりの生徒が真剣に頑張っている空気の中で勉強することは、それ自体が大きな刺激になります。もし「その雰囲気が自分に合いそうだ」と感じるなら、LEAFを休んででも、集団塾の講習会に参加してみるのもひとつの手だと、私たちは本人にも保護者の方にもお伝えすることがあります。

ただし、「集団塾=良い刺激がある」とは限らないのも事実です。同じ塾でも、教室によって雰囲気はまったく違います。なんとなく夏期講習だからと授業を進めているだけの教室では、学校の授業と大差なく、受験生としての自覚を育てる声かけや雰囲気づくりができていないこともあります。気になる塾があれば、実際に通っているお子さんの保護者の方に、教室の様子を聞いてみることをおすすめします。

そして何より大切なのは、「わからない」を安心して言える場所かどうか。塾選びのひとつの基準として、ぜひ意識してみてください。


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